テキトー日記

お出かけ感想日記なので不定期更新です。

ヒューマンエラー観てきました(8月に...汗)

【ネタバレ配慮無しです】
もう、自分でもいいかな?と何度も挫折しかけましたが、しぶとく書ききろうかと思います。

8月12日と15日の2回に渡り、
ピウス企画さんの舞台
『ヒューマンエラー』観てきました。
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凄まじかった!!
何が?って……(いきなりネタバレに入ります)


様々な映画や小説やドラマでも扱われてきた
「無垢なる犯罪」への答えを己は持っているのか?
その一言に尽きるかなと...
そして「個」とは?
「量産型」と人ですら揶揄される時代に、
アンドロイドは何を思うか?
「思った」かどうかも分からない、
でも、あの最後の言葉(判断)には
深く重い意思を感じました...


遡ります。(台本は購入していません)

普及型アンドロイドで一時代を築いた
「&ロジック(アンドロジック)」
、、、アンドロジック、書いて気づいた、
もしやアンドロイドチック的な響きに掛けてる?(詳細は不明)は、今や巨大企業「マツノ」にその座を奪われ、会社存続すら危うくなっていたある日……

研究開発者・福崎巡(博士)が、人間を作ることを目的とした(すみません、この辺りの設定は理解出来ませんでした)人口人格『ALー901』
通称、アルの開発に成功。

窮地の会社は、開発早々の『アル』を使い
未来予測が商品化されれば一発逆転だと意気込む。

福崎巡以外のメンバーは以下へ

松野大吾(篠崎功さん)&ロジックの社長にして、
ライバル会社マツノの一族。
マツノの社長は大吾の弟でもある。
ワンマン気味で、出来のいい弟に嫉妬して、
いろいろと小ざかしい意地悪をしていた過去あり。

衣川廉哉(畑中智行さん)開発部統括。
全体のまとめ役。

田中王子(ウチクリ内倉さん)ゲームデザイナー
元ゲーム会社社員。上司に嫌われ退職。
またゲーム開発に戻りたいと思っている。

石村弓月(永井幸子さん)天才プログラマーであり、天才ハッカーでもある。
未来予測をする上で、依頼主の個人的な思考や日頃の行動パターンが必要なため、完成の暁には依頼主は金持ちが多いだろうと、あらゆる場所にハッキングして行動パターンを集める。

村上星満(ほしみ)(水崎綾さん)
ウジウシして、なかなか物をハッキリ言えないのに
おかしなところで行動力を発揮。
何かのきっかけになりやすい役どころだったかと。

外池桂香(川田希さん)開発済みのアンドロイドに名前を付けるのが趣味。
仕事は居場所が無いと少々腐り気味。

八木下紀介(増田裕生さん)アンドロイド技術者
アンドロイドのメンテナンスが主な仕事。
外池が付けた名前ではアンドロイドを呼ばず、
型番で呼び続けている。

大黒里緒(小玉久仁子さん)キレ者の営業部長。

潮仁美(田中良子さん)関係者として『未来予測』を見届ける。
役所から派遣された見張り役。
福崎の亡くなった妻の姉で、大黒・石村・外池とは昔馴染みでもある。

以上が所謂『人間』

以下『アンドロイド』

吉田護(森下亮さん)AL003
マツノの社長(松野大吾の弟)そっくりの外見を持つアンドロイド。社長の秘書的な役割もこなす。

青木敬士(三上俊さん)AL701
最新型。
名をつけてくれたら外池からは酷く嫌われている。

西名真琴(伊藤えみ)AL227
吉田と同じくプロトタイプのアンドロイド。
吉田と西名だけは衣装がシンメトリーになっていて、凝っているなとか言う脱線感想。

塚越伊吹(河原田功也さん)AL423

小島スミレ(はぎのりな)AL515


出演者さん、けっこう多いです。
設定はもっと細かくピウス企画さんのツイートに上がっていたので、多少割愛。


ここからはストーリーと感想織り交ぜます。

総勢15名と未来予測ごとにアンドロイドにインストールされる人物により結構な登場人物数になるため、最初のうちは会話劇かな?と思っていたら、
いきなりの急展開で……

アルの開発を偶然すぐに衣川(いがわ)に知られ、
それを元に『未来予測』を「商品化」すれば
一発逆転の起死回生になると盛り上がる社員。

奮闘すること数週間(この場面、音楽と動きだけで表現されるのですが、某劇団ならダンスシーンだななど……)試作段階になり、始まる『未来予測』

ーーー思いっきり書き忘れていました、
人口人格「アル」の言葉は、プロジェクションマッピングを使い、画面後ろに現れます。
これで声のない人口人格と登場人物やアンドロイド達との会話が成り立っています。

他にも、未来予測の時間、場所、指定される人、
インストールされる人格の名前、
選択肢等も文字で出ます。

(話を戻します)
先ずは開発者、福崎から五体全てのアンドロイドを使い、未来予測実験スタート。
そして初の『未来予測』実験後、アンドロイドの
開発者である八木下が少々の違和感に気づく。

アルは答える「人格をインストールしました。消去しますか?」
八木下「いや、いい」
ここがもしかしたら最大の『分岐』だったのかもしれないです。


未来予測は3種類の選択肢が分岐として提示されます。その3種類は、その人がその場で言いそうなことの優先順位をアルが分析した結果として出されたものです。実験は3種類全てを順に選択し、結果を経験するというものです。


八木下が去った後、アンドロイド達が会話を始めます。
「不思議な感じですね」
「喧嘩を初めてしました」

その後にインストールされる人格も重なって
アンドロイド達には、感情というものを覚えます。
アルも同様に。

それぞれがそれぞれに起こっていること(畑中智行さんの衣川の家庭の話しは面白すぎました!内容的には笑っちゃダメなヤツなんですけどね!笑)
これからすぐに起こりそうなことで『未来予測』を
経験する。皆が「スゴい」と称賛する。
インストールされた人物にアンドロイドを重ねて、仲良くなっていく人達もいる。

何もかも上手くいっているようで、
不穏な動きも起こる。
そんな中で第三者として立ち会っていた
潮仁美が福崎巡に声をかける
「違和感があるの。上手く言えないのだけれど、
なぜ未来予測の実験はいつも1人に1度で終わるの?分岐した後に選択をしたなら、また、分岐が起きてるはずじゃない?何故だと思う?」


この一言から、舞台上のストーリーは
笑いありの会話劇から一転します。


そして、最初にネタバレと書いた
「無垢なる者の犯罪」へと……

「それはいけないことなんだ、なんと言う言葉を尽くしても言い表せられるか分からない、どう言ったら納得してもらえるかも分からないけれど、いけないことなんだ」私には、こんな簡単な言葉しか浮かびませんでした。


暴走気味に一方的に始まるアルの『未来予測』
そこで起こることは、とても残酷なのに
誰も(肉体的には)傷つかない、何とも恐ろしく
悲しい現実でした。
未来予測で経験したばかりなのに、愚かしくも動きだす人間。「自分なんて」「それで全てが終わるなら」
自己犠牲にみせかけた身勝手だな、そう思いました。
そう思った理由はアンドロイドによる「分岐からの選択」があったから。やり切れないなと思いつつ、演出と言うか脚本に舌を巻いていたのも事実。
素晴らしかった。

話しは飛びますが、HELLO1103というテクノユニットの方達の曲に「AIのための6つの感情曲」と言うのがあります。好悪・驚き・怒り・悲しみ・喜び・恒常性(内部環境を一定に保とうとすること←略意です)で、隠しとして7つ目の感情・熱狂(熱中)があるのですが、私の中でのシンクロ度合いが高すぎてびっくりすること数度……

アンドロイド達が実験で人格をインストールされ、普段、自分達の中にはない「感情」を表現し、さらにそれに相手がリアクションを起こす。
その事(感想)を語った後に言う
「僕達には休養が必要です」

いつの間にか芽生えた様々な感情と同時に
自分達は代替えの効くアンドロイドであり、
人間ではないのだというモヤモヤも生まれる。


怒涛のラスト、アンドロイドはアンドロイドとして自分達の有り様や存在意義を人間達に見せつける。

吉田こと森下亮さんと青木こと三上俊さんのやり取り、素晴らしかった。

特に森下さんは凄かった。
設定上、社長の弟に姿がそっくりに作られていると言うことで、アンドロイド役の方達は何役も演じる中でも年齢幅や性別まで違うのに、そう見えることで、人の狡さが嫌という程よく見えた。


もう一度、話を戻すと、私は「人として」なんと言う言葉を発することが出来るのだろう?
ただ、「どうしてこうなってしまったんだ」ど嘆くしか出来ないのだろうか?ものすごく考えてしまいました。
でも日頃、正直に言えば「ダメなものはダメ」以上の何がある?と思考をシャットダウンしがちな問いかけにたいして、妙に説得力のある「だって」に、こうまで己の言葉と態度は無力になるのかと突きつけられたことは、刺激になりました。
だから感想を書きたかったのに纏まらなかった。


ラストシーン、解釈は幾つかあるかな?と思うので、私の解釈は……誰かDVD買って、感想を〜!!(切実)
1つだけ、1回目、一緒に言った友人が
「思い入れ」について私には浮かびもしない感想を持っていました。感慨深いし面白かった。

観劇すると終わった後に、1人で余韻に浸りた気持ちと、話が!話がしたい!!私の見えたように他の人にも見えた!?と、会話に飢える気持ちがせめぎ合います。それも醍醐味。


『ヒューマンエラー』
タイトルの意味も「人的ミス」そのままで受け取って良いのか分かりませんが、奥深かった。
爽快でスッキリする内容か?と問われたら「いいえ」です。
もし再演されたら観たいか?と問われたら、即効で「はい」です。


途中までの分岐をそれぞれ経験する場面や、
ラストを含む重大なシーンの細かいこと、
名前を出して書き出すと止まらないくらいありました。一人一人に見せ場があり、笑ってしまったり、涙が出てしまったり……

何を書きたくて感想を書いたかと言われると、
本当はもっと本格的にネタバレ配慮無しで
ひとつひとつ、自分の中に浮かんだ問いかけへの
「答え」をまとまらないなりに書きたかったのですが、やっぱりなんだか申し訳ないので我慢。
中途半端になってしまいました。すみません。


ラストの解釈を含めて、感想にも個性が出そうなストーリーだったと思ってます。
そもそも論を言う人には、向いていませんが(笑)
「もしもをもしもとして」観ることが出来るのがお芝居でもあるのだから、自分のモヤモヤをストーリーの分岐で晴らそうとしてはいけないのでしょう。


9月末日までピウス企画さんのホームページで、
DVDの通販もしているようです。
DVDを出しても、再演というのはあるのでしょうか!?前回の『モナルコマキ』同様、熱望中です。
五右衛門はウチクリ内倉さんのままで、
吉田は森下亮さんのままで観たいです。

ちょっと宣伝と願望も書いてみました。
畑中智行さんのコメディチックな演技が好きな方には、見逃せない場面がヒューマンエラーにはありますよ!!


ずっと、ずっと考えています。
でもやっぱり「答え」は難しいです。
「量産型だけれど量産型では無い」アンドロイド達があまりにもブレないからこそ、何か言えたらいいのにと思いつつ言葉が浮かばないままです。

ただただ絶句しながら息を飲んで観たラスト、
ちょっと忘れられないです。素晴らしかった。


またいつか、舞台で観れる日が来たら良いなと願いつつ、纏まらない言葉を持ったまま〆ます。

ありがとうございました。