テキトー日記

お出かけ感想日記なので不定期更新です。

ペインコレクター・紹介編

※気をつけたつもりですが、ネタバレ含めて
不快になる方もいるかもしれません。
台本は購入していません。

前置きおいて始めます。

「痛みを知ったからと言って
人間になれるわけじゃない」

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さて唐突ですが、質問。
あなたは共感性羞恥という言葉を知っていますか?

なんて、実は全くこの舞台には関わりありません。
でも、何故、質問したかと言うと単純に
「共感性」「共有」というものが奥底にある舞台だからと思ったから。
他者の失敗や恥じらう姿を見ていられない
「共感性」。
突き詰めべれば、それは他者の痛みを
「共有」してしまうこと。

『ペインコレクター』痛みの収集家?!
何となく掴めないまま、畑中智行さん出演ということで行ってみました。(ちなみに舞台用宣伝写真のイメージで行ったら普通にスーツ姿の刑事でした笑)

仕切り直し!

舞台は(上手から)花を手向ける男性が現れるところからスタート。舞台下手にはもう1人の男性。
そして、下手側男性に上からかけられる
冒頭の言葉。
プロローグであり、大きな伏線。

パンフレット通りに説明すると、証拠がなく逮捕もまして裁かれることもないままの殺人容疑者が次々に同じメッセージを残し自殺する事件を捜査一課のお荷物・掃き溜めの特殊捜査班が解決のためではなく、残務処理を任させるところから。
しかし、書類を作る前に次なる不可解な自殺が起こる。
メッセージは同じ、自殺者の直筆『痛みを知れ』

そこで連れてこられた容疑者3人、うち1人は元同僚警官の探偵だったため、怪しまれながらも容疑者より協力者側へ。
残す2人と、後から呼ばれる1人さらにもう1人増えて計4人。

ちょっとだけ説明、増やします。
パンフレットと見てきた感想込みです。

«容疑者側»順不同

有賀千歳(永井幸子さん)サイコパス作家
問題行動が多く逮捕歴多数。
人が起こす出来事には好奇心旺盛だが、
他人の話は聞かない。

西翔太(原野正章さん)フリーター
優しい性格だがパニックを起こしやすく、
叫んだり喚いたりするためバイトを転々としている。
挙動不審になりやすい。

細谷藍里(今川宇宙さん)大学生
友人を殺人犯に殺される。
裏表が激しくモテるが打算的。
若さ溢れる生意気さが魅力(笑)

中里恭也(鷲尾昇さん)元高校教師
恋人を殺人犯に殺されて10年以上
ずっと犯人を探している。
恋人は(後述の)藤間の姉。

赤嶺剛彦(井上裕朗さん)元刑事の探偵
探偵として現場にいたため、赤嶺を知らない刑事に容疑者として連れてこられる。
藤間に左足を撃たれた過去あり。
能力は高いため捜査に協力もするが
疑いは持たれたまま。
恐ろしく声の良い人。(自分基準)


«警察側»順不同

藤間圭吾(増田裕生さん)班長・警官殺し
異例犯罪捜査班班長
同僚を射殺した過去があるため嫌われている。
しかしマルイ(異例犯罪捜査班)自体は
藤間のために出来たような場所のため...
事情あり!?この辺はハッキリと分からないまま。
自分の気持ちや状況を言葉にすることが極端に苦手なため周りから誤解や反感をかうスペシャリスト。

時田香枝(上谷佳澄さん)捜査一課・管理官
捜査一課内にある異例犯罪捜査班に
敗戦処理」を持ってくる。
威圧的で権威主義のようでいて、
人のことは見ている。
マルイに飛ばされた人達の事情も分かっている。

辻野一洋(畑中智行さん)真面目すぎる刑事
過去に後輩を藤間に射殺されたため
班長を忌み嫌っている。
「異例犯罪捜査班の良心」
有能だが、藤間を中心に問題行動多数のため
皮肉にも掃き溜めのマルイに飛ばされる。
さすがの配役(笑)
1人だけ堅くしっかりした挨拶と礼を時田管理官にする場面。ちょっとニヤけました。

今井久志(森山栄治さん)社交的な腹黒刑事
厄介者だか事件の捜査で役に立つ。
頭が切れる有能人物だか難あり。
自分で自分を嘘つきだから嘘つきが分かると
ハッキリ言う性格でもある。

渡辺銀(加藤靖久さん)不真面目な刑事
警官でありクラッカー。
情報が足りない時は便利屋扱いで忙しい。
野心もなく冷めてるようで、きっちり仕事はこなすため(多分)班内では信用されている。

萩原よし乃(MiKiさん)ベテラン女刑事
班内の紅一点(死語)
なぜにマルイに飛ばされたのかは不明。
しかし時田管理官に「結果を出しなさい」と一喝されたところを見ると、何かしでかしたと予想。

楢葉久美子(伊藤えみさん)サポート担当
不可解とは言え自殺と思われた件が
ただの自殺ではないと予測されたため
派遣されたサポート係。マルイの一員ではない。
素朴な疑問や過去の功績を敢えて口にするなど
観客目線でもサポート係だった。


って、、、長い!!ビックリです。
これは2つに分けなきゃかもです。


感想、もう1つ。
この特殊捜査班と人物設定(元警官含む)敢えてかな?というくらい、分かりやすくステレオタイプにハマっていて、何かの連続ドラマでも良いのでは!?と思わせる設定と配役でした。

そのため私は物語に入りやすかった。
人物相関図自体は複雑で入り組んでいたし
舞台上では、におわすまでが限界だった部分もあったため、人物設定まで複雑だと、もっと印象が分散して分かりにくかったとか、凝りすぎてて分からなかった。に、なってたかもです。

そういう所に2時間で理解してもらい、
かつ面白かったとなる工夫があるのでしょうか?
観てるこちらは、あちこちにあった伏線(台詞や行動)が繋がる面白さと同時に、分かるようで分からない推理部分で楽しみましたが、演じていらっしゃる方は脳内パンクしかけたようで、なるほど〜と、なりました。

ということで粗筋に戻ると。

容疑者内には厄介な「痛みは嫌いだが、人の痛みには興味がある」というサイコパスの女性作家が紛れていた事と元警官の探偵情報により、不可解な自殺は警察で掴んでいるだけではなかった。

わかりやすい!!
わかりやすく広がりました。ここまでは。
ここからが、集中力勝負。(別にしなくても良い)

ここまでは、それぞれにクセのある人物設定により、王道サスペンス感たっぷりでした。
どの演者さんもピッタリで笑いも取りつつ、おや?と思う引っかかりも残しつつ、で、
サイコパスの作家さんは不可解な自殺を不可解な殺人事件と仮定するならば……「ありえないなんてありえない」(何のセリフでしたっけ?!)の発想がないと出来ない推理を始める。

(パンフレットより)
千歳は過去に2件の殺人容疑をかけられたサイコパスだった。天才的な頭脳で分析される事件。
その結論は、藤間に納得出来るものではなかった。
「この事件は他人を操る超能力を持っている」

ちなみにこの役の衣装が上は横の白黒ボーダー下は縦の白黒ボーダー柄のスカート。(まさか人格障害のボーダーとかかってたら笑ってしまう)
なかなかに凝ってました。

さて、ここからの感想は、恐らくネタバレになるかと思います。
もちろん、全部は書きません。
でも感想自体がネタバレになりそうな何とも言えず、奥行きのある物語でした。
エンターテインメントから逸脱する程の複雑怪奇さや分かる人には分かる感は排除していたように思いました。
でも一筋縄ではいかない感じ。
それぞれの役者さんの見せ場を楽しむも良し、
ストーリーの粗探しするも良し(しないけど)、
舞台全体に流れていた緊張と弛緩の合間で油断していたら一気にクライマックスへとなだれ込んだラストに唸るも良し!!楽しみ方はいっぱいあったかなと思います。

では、一旦締めて、もう1つ!!